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『黒い裾』写経おわり。最後の段落の「おちつき」、慟哭したり取り乱したりせず、目を伏せ黙して死者に手を合わせている人の、柔らかいさみしさがこちらに沁みてくるよう。市子ちゃんの『奇跡はいつでも』の終わりと同じ匂いがする。宝のような一節。

『ドリアン・グレイ』p.279 ひとりの人間と世界の融合