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溝口健二『山椒太夫』を観た。映像美より物語と演技がよかった。

昔は仏やキリスト様に手を合わせて来世の救いを願うことでしかやっていかなかったんだなあ、それくらい多くの人々の人生が生まれた瞬間から定まっていて、来世に期待するしか救いがなかったんだなあと。虐げられた挙句病に倒れ山に捨てられる女に手を合わせる婆のシーンがきつかった。歴史に名を残す人間たちに踏んづけられて来た何億という人たちの、言ってしまえば「人生リセマラ願望」?

神様ということを考えずに無宗教で生きてこられたというのは、歴史上に照らしたらある種特権的地位を意味するのだろうなと、また不甲斐なくなった。

鴎外の『山椒太夫』をもう一度読もうと思った。