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ジャン・ユスターシュ『ママと娼婦』を観た。ものすごい長台詞を軽妙に言い連ねるジャン=ピエール・レオーの声、目つき、表情、身振り手振りがたまらなかった。その主義主張に共感性羞恥を感じた。ずっと微妙な笑いを浮かべながらそれを聞いていたヴェロニカが後になって「死ね、ナルシスト」と言ってくれたときのマゾヒスティックな爽快感。

お互いに歌を歌い合うシーンがとても良かった。

ヴェロニカの嘆きは、言葉通り「愛する人と子供を作るためのセックスだけが許されるもの」という古い性道徳的価値観で受け取るべきなのか否か、あとになって悶々とした。映画でも小説でも、製作者の主義主張や意図を作品からどうやって・どのくらい受け取るべきか、悩ましい。