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午前中作業。また原型から考え直しているのだけど、あれこれ考えながらやるのが楽しい。生身の人間の身体と向き合っている実感がある。私が服を作る上で齧り付いていたいのはこのポイントだと覚えておきたい。

昼過ぎビクトル・エリセミツバチのささやき』『エル・スール』観に行く。前者はトトロの元ネタと聞いていたけど、まあ何となくそうなのかもしれない、程度。それより少女の眼差しとか、ちいさな鏡に映る赤い唇とか、暗闇の水面に映るフランケンシュタインだとかがぞくりとした。姉妹ふたりの目の前を汽車が走り去るシーンもよかった。少女に対して世界が開かれていく瑞々しさ。

後者の方がお話的には好きだった。というのも、女性が昔のこと、特に父のことを中心として回想するという語り方や、父と娘の何とも言えない対立を含めた思い出が、幸田文『みそっかす』を思わせたので。文学を読んでいるみたいな映画だった。心の繊細なひび割れに触れているみたいで泣いてしまった。父との思い出の「おもり」をロザリオみたいに顔の前に垂らしながら頬に涙の伝う様が悲しく美しく、それだけに初聖体拝領の日の話が優しく朗らかに思い出される。

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