12/3

京セラ美術館で展覧会3連チャン。

竹内栖鳳

「様々な画風で何でも描く」という、離れ業のようなことをする画家だった。中でも動物画が凄かった。金屏風に描かれたライオンと虎の大迫力、いかにも硬そうな毛の表現。反対にもふもふと顔を埋めたくなるような鴨やあひるの羽毛。と思ったら、黒でベタ塗りされた輪郭の曲線ばかりが美しいカラス。『蹴合』という題の、二羽の軍鶏が向かい合って躍動する絵は、鮮やかなドレスの翻るダンスの一瞬間を見ているようだった。背に斑点の出る夏季の鹿を描いた『夏鹿』や、三匹の蛙を描いた『歌仲間』など、タイトルも素敵。風景画は特に雨の日を描いたものが良かった。動物の毛は鮮烈に明朗に描く一方で、雨に煙った景色はぼやぼやに滲ませて、カビの生えそうなほど湿度高く描く。表現する技法の幅がとんでもないとど素人ながらに思った。

②MUCA展

バンクシーなどの現代作家展。急遽挟み込んだので流し見しかできなかったけど、『シャドウマン』がなんとなく良かった。

③井田幸昌展

エネルギーがすごかった。重たい、がむしゃらな熱量。会場の空間構成(?)からして面白かった。気に入った作品は『星月夜』と、『End of today』という連作。後者は毎日小さな一枚を365日、絵日記のように描いたというもので、それが四方の壁一面に所狭しと並べてあり、「どれが好き」と同居人と指差しながら話せて楽しかった。抽象度の高いものやオシャレな肖像画の多い中、『田部親方』というやけにリアルなおっさんの肖像が一枚紛れていておかしかった。

見終わってからタメだと知って地味にショックを受けた。

帰りの電車、正面の席に座っていた女の人が妙に青白い顔を仰がせ、口を半開きにして、足を放り出すような格好で寝ていた。それを見た同居人が「前の席の人生きてる?」「息してる?」とgoogleの検索バーに打ち込んで訊いてくるので爆笑してしまった。女の人は普通に生きてた。

帰ってから公式サイトで気に入った絵をもう一度見たけれど、生で見るのは本当に違うものだと痛感。金屏風はもうそれだけでカッコいい(そこにあんな獰猛なライオンと虎描かれたら超カッコいいに決まってる)し、でかい絵はそれだけでど迫力、そんな単純な感動ができて良かったと思う。