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昨日今日で鈴木清順『夢二』『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』を観た。三本観た方にプレゼントということで『ツィゴイネルワイゼン』のかっこいいポスターをもらった。

昨日、映画に行こうとバス停で待ってるとき、母からのラインでチバユウスケが亡くなったことを知った。ぞわっとした。バスに揺られながら、Coccoの『Raining』を聴いていたのを途中からミッシェルの『ダニー・ゴー』に変えて、ぼろぼろと泣いた。この前の春に病気の旨を知り、「タバコを吸わないチバユウスケ爆誕かぁ」などと呑気に、必ず治るものと信じて疑っていなかったのだけど。

9年前彼らにハマりたてのときの狂ったような熱はとっくに冷めていた。それでも泣きながら、今は遠いチバユウスケと自分との「接点」を数えた。ツイッターでもみんなそうして振り返っていた。自分の記憶と存在のこれ以上ない肯定だと思った。

大体私はミッシェルの活動の軌跡を後追いするばかりのファンで、今の活動は全く追っていなかった。だけど7年前くらい、ただ一度だけThe Birthdayのライブに行った。難波zeppの客席のど真ん中、バーにもたれかかって、爆音の中踊りもせず「本当にいるんだ」と呆然と立って眺めていた。あのとき行けて本当に良かった。ファンの誰もが定形句のように言う「世界一カッコいい」、それは本当のことだった。

私の好きなミュージシャンたちが追悼コメントなどを寄せているのを見た。ウエノさんのインスタやクハラさんのブログを久しぶりに覗いた。毎日の仕事、ライブの情報を、当たり前にアップしていた。頭が上がらない。

悲しさでずしんとしたまま、昨日は『夢二』と『ツィゴイネルワイゼン』をハシゴした。死と映画、両者の現実感のなさが不思議と調和していた。映画に全く集中できなかったわけではないけれど、心がぐるぐると混乱していた。

帰ってからため息ばかりが出た。動画を見ながらほろほろと泣いた。同居人の思い付きでラキストを買い、ふたりで吸った。アルミホイルを灰皿にして、換気扇に煙が吸い込まれるのを見ていた。禁煙して二年ぶりのタバコは思ったほど不味くもうまくもなかったけど、やっぱり深呼吸ができるなと思った。吸った後は口の中がベトベトして気持ち悪く、また吸いたいとは思わなかった(良かった〜)。二本だけ減ったケースに「R.I.P」と書いて、しまった。気持ちも落ち着いた。

あのとき生きる支えをもらったのだから、そしてそこから今までなんとか生きられたのだから、私は私の生活をちゃんとしなければと思う。だから今日は映画を観て焼肉を食べて、楽しく過ごした。『陽炎座』、とんでもない映画だった。松田優作原田芳雄が素晴らしかった。

松田優作のひょろっと細長いスーツ姿がアベさんに見えた。