フェデリコ・モンポウを聴きに大江能楽堂へ。
会場自体がもの珍しく、席も畳に座布団や馴染みのない形の小さな腰掛け椅子で、足を踏み入れた時点でわくわくした。プログラムはピアノ曲を弦楽四重奏やギター・バイオリン、ギター+四重奏といった形に編曲したものがメイン。一曲目の編曲がYouTubeで可笑しな編曲遊びをしている人だったので驚いた。
管楽器が無いと昔のことを脇見せずに済むのでより集中でき、奏者一人一人の音がとても素敵だなと純粋に思えた。特に佐藤響さんのチェロ、ふくよかで慎み深い感じがして好き。個々人に弁えのようなものが感じられ、その分掛け合いやユニゾンに迫力と一体感があったと思う。
曲はモンポウが半世紀かけたという『歌と踊り』シリーズが気に入った。弦四人が同じ音を強く鳴らす中からギターソロが浮き上がってくるところでぞわっとした。
能楽堂を出たら、また夕焼け空が美しかった。雲が鮮やかに橙で、その向こうの空は真っ青。
小説や曲を書くのに半世紀前後かけたり、この間読んだドガのように「完成させたくない」とごねる人がいたりという事実になんとなく救われる思いがする。いつまでにやらなければいけないことなんて無いのだと。「いいね」の数やフォロワーの数で競い合い、発注したものが次の日には届くような現代には合わない考え方だけれど。